「スター誕生」の放映が始まったのが1971年10月だった。当時は未だ「アイドル」という呼称は定着していなかった。

CBSソニーのプロデューサー、酒井政利が南沙織を売り出す際に「アイドル」という言葉を初めて使ったと言われているが(南沙織のデビューは1971年6月)、それよりずっと前に「アイドル」という言葉は映画のタイトルとして日本に登場している。

 

 

それは、シルヴィ・ヴァルタン主演の「アイドルを探せ」(1963年)というフランス映画だった。

フランス語タイトルは、"Cherchez l'idole" で、日本語タイトルはそのまま翻訳したもの。

フランス語の idole は、もともとは「偶像」という意味で、「熱愛の的」や「人気者」という意味で使われるようになった。例えば、idole des jeunes は、「若者のアイドル」となる。

この映画が画期的なのは、ビートルズの「ヤァ ヤァ ヤァ」よりも1年早く放映されていることで、所謂アイドル映画の先駆けとなったことだった。

「スター」ではなくて、「アイドル」と呼んだところが、酒井政利の洒落たところだ。