エディット・ピアフは、テオ・サラポと最晩年に出逢い、彼に真実の愛を見つけ、彼を心から愛し、そして彼に看取られながらこの世を去っていった...

という美しいストーリーが語り継がれている。

だが、断言してもよいが、もしエディット・ピアフが元気で体調に問題なく、70歳くらいまで歌い続けていれば、違う展開があった、と私は思う。

 

 

理由は、ピアフが恋愛至上主義者だったからだ。

彼女にとって、結婚というのは恋愛の延長線上にある儀式的なものに過ぎず、いつでもキャンセルできる。歌と恋愛こそが人生において最上位にあるからだ。

彼女は、結婚して一人の男性に添い遂げるなどどいう古い価値観は持っていなかったわけで、テオがいくら素晴らしい人だと言っても、体調が良ければ、離婚して別の男と恋愛するのは必然だったと私は想像する。