バルバラは、若き日、ステージ歌手を目指してブリュッセルに修業に出掛けたはずだったが、何ら成果も出ないまま、手持ちのお金も無くなり、浮浪者のような生活を強いられた。

彼女は、以下のように歌詞に書いている。

 

Qu'est-ce que ça veut dire vingt ans si tu crèves

Devant un désert de porte fermées...

もしあなたが閉まったドアの砂漠の前で死にそうになっているなら、青春が意味することは何だろう。

 

 

 

それで、ついに或る晩、街(ブリュッセル)を出て、あてもなく南に向かって彼女は道すがら歩き出した。

クライスラーのクーペが横に止まって、ヴィクトールという人が乗せてくれ、パリにいくつかある門(入口)の一つPorte de la Villette(ポルト・ド・ラ・ヴィレット)まで送ってくれた。別れ際に「僕が君の面倒をみようか?」と訊かれたが、未だ歌の道を諦めていなかったので断ったと言う。