「また逢う日まで」は、それまでの歌謡曲とは違う、画期的な歌だったと思う。

まずは、ズー・ニー・ヴーの「ひとりの悲しみ」の歌詞をプロデューサーである本城和治の発案を飲み、阿久悠は別バージョンに書き換えた。

それまでの男と女の別れ歌には、涙や未練などが書き込まれたが、阿久悠はそれらのウェットな感覚を排除した。

 

image

 

しかも、もともとの筒美京平の曲は、長調だった。別れの歌は短調と相場が決まっていたのだが...

 

そして、何よりも画期的だったのが、尾崎紀世彦の歌唱力だった。トム・ジョーンズばりの迫力ある歌いっぷりは、それまでの邦楽には無かった。

プロデューサーの本城和治は、音楽出版社・日音の村上司に誘われて尾崎が出演するナイトクラブへ行ったが、歌声を聴いてぶっ飛んだと後に述懐している。「日本にこんなパワフルな歌手がいるのか!」と思ったそうだ。