朝ドラの「ブギウギ」の124回(3月27日放送)で、ついに福来スズ子は、引退の記者会見を行った。

この回に関しては、モデルになった笠置シズ子の史実にほぼ忠実だと思われる。引退の理由については、評伝(砂古口早苗 「ブギの女王・笠置シヅ子」潮文庫)に書かれている内容とまったく違和感はなかった。

敢えて、付け加えるとすれば...(私見となるが...)

 

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私が子供の頃観ていたテレビ番組「家族そろって歌合戦」で、審査員をする姿の印象からして、笠置シズ子はドラマの福来スズ子よりももっと勝気でプライドが高かったのではないか?と思ってしまう。(子供だったので、あの低くてドスの効いた声がそう思わせたのかもしれないが...)

だから、記者に対しても、あんなに優しい口調で対応しなかった気がする。サービス精神は旺盛だが、それはファンに対してであり、記者にはドラマにもあったが、辛辣な質問に対してジョークでユーモラスに切り返す程度にとどまったのではなかろうか?

 

日本国民が抱く朝ドラのヒロインの一般的なイメージは、明るくて前向きで健気で、ちょっとドジな感じだと思う。その路線を崩さずに福来スズ子の「歌手引退」会見を描こうとすれば、あのシーンに収まったのだと思う。

「カーネーション」(2011年9月~)の小原糸子(コシノ3姉妹の母・小篠綾子がモデル)のような朝ドラとは思えない泥臭さ、激しさを「ブギウギ」にも少し期待していたが、大阪市内で育ち東京へ進出した笠置の方が、だんじりの岸和田市民として亡くなるまで活動した小篠より穏やかで上品に描かれるのは仕方あるまい。