ミレイユ・マチューは、少女時代、ピアフがテレビに出て来る度に泣いていたと言う。悲しかったからではない。感動のために。
例えば、クリスマスの夜に、ピアフが「ミロール」を歌うのをテレビで観て、想像を超えた素晴らしさだったと後に打ち明けている。
或る夜寝ていたら、兄が「ピアフだ!」と叫ぶので飛び起きてテレビの前に駆けて行ったら、テオ・サラポと「恋は何のために」をデュエットしていたと言う。その時も泣いた。
ところが...
ピアフが亡くなったというニュースを聞いた時、涙は出なかった。別の感覚があった。
まるで、ピアフが自分にそっと耳打ちしているような感覚だったと言う。「早くしなさい!」と。
そして、ミレイユ・マチューは、その囁きを信じて歌手の道へ進むのだった。
出典: Emmauel Bonini "La véritable Mireille Mathieu" Pygmalion
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