朝ドラの「ブギウギ」は、いよいよ最終週になった。

福来スズ子(笠置シズ子)のトップの座を脅かす新進のスターとして水城アユミなる女性歌手が出て来た。

普通に考えれば、美空ひばりがモデルなのだが、どうも生い立ちなどがかなり異なっている。第7回男女歌合戦(紅白歌合戦)でトリの福来スズ子の一人前を歌ったというところも違う。

 

 

水城アユミは、スズ子が大阪で所属していた梅丸少女歌劇団のピアノ伴奏者だった股野義夫と、スズ子の先輩で子供を産んで亡くなった大和礼子の娘という設定で、魚屋の一家に育った美空ひばりとは大きく違っている。笠置シズ子がトリだった第7回の紅白歌合戦には、美空ひばりは裏番組に引き抜かれ出演していない。

 

じゃぁ、誰がモデルなんだろう?といろいろ思い巡らしてみると、江利チエミではないかと思い当たった。

江利チエミの父親は吉本興業の専属バンドマスターとしてピアノ演奏をしていたし、チエミの歌手活動の初期は彼女のマネージャーをしていた。母親は東京少女歌劇団のスター女優で、吉本興業に所属し、榎本健一や笠置シズ子と共演している。母親は病弱で、チエミがお腹にいる時から体調を崩し芸能界を引退、その後も表舞台に出ないまま彼女が14歳の時に亡くなっている。

チエミは、ひばりと同じように劇場でさかんに笠置シズ子のブギを歌っていたので、シズ子は服部良一と相談して自分の歌を歌わないように申し入れたと言う。

また、チエミは第7回の紅白歌合戦に出演している。トリの一人前は、宮城まり子だったが。

 

自分の歌を許可する、しないで少し経緯は違っているものの、新進の歌手に笠置シズ子が少なからず脅威を感じていたのは事実だったと思う。