シンガーソングライターは、自分で歌を作って自分で歌う。だから、彼らは最初から存在する自分の枠組みから逸脱できない。それで、作家(作詞家・作曲家)に書いてもらうよりも歌のヴァリエーションの幅が狭い。

というのが、定説だ。だが、それを越えたシンガーソングライターがいる。

それは、バルバラだ!

 

 

 

例えば、彼女は「黒い鷲」という壮大な幻想のようなシャンソンを作った。少女時代に性的虐待をした父親のことを鷲に譬えているのではないかという説もあったが、バルバラ自身がそれを強く否定している。

彼女の類まれなる想像力は、日常の生活や心情を歌うシンガーソングライターとは一線を画している。

日常から乖離した物語を創作して、それを演じて歌う。つまり、一人芝居の企画・脚本を自分でして、自分で演出して自分で演じるようなことを彼女は平気でしてしまう。

その点に私は、惜しみない賞賛を送りたい。