今でこそ40歳になってもアイドルの追っかけをやっている男性は存在するが、昭和の時代は大人になったらアイドルの歌を聴くことから卒業することが多かった。

だから高校時代にファンになると最長3年で大学生か社会人になりそのアイドルを卒業することになる。大学時代にファンになっても最長4年で卒業する。

つまり、女性アイドルの男性ファンの残存年数は、3~4年と言われた。

 

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山口百恵は、1973年に「としごろ」でデビューし、2曲目の「青い果実」から所謂「青い性路線」で赤裸々な女の子の気持ちを歌い、男性ファンが多かった。

そして、3年後の1976年夏に作家(作詞・作曲)を阿木燿子・宇崎竜童に変えて、「横須賀ストーリー」をリリースする。

この曲は、山口百恵が芸能人にはならず、生まれ育った横須賀に普通の女の子として生きていたらこんな恋をしただろうという想像のもとに出来上がった歌だが、等身大の彼女の姿を映し出したことで、女性ファンが圧倒的に増えた。その後もフェミニンな歌が続き、特に、さだまさしが作った「秋桜」で嫁いでいく娘の気持ちを歌い、女性ファンの心を鷲掴みにした。

 

男性ファンがそろそろ卒業していく3年が経過しようとしていたところに、「横須賀ストーリー」がリリースされ女性ファンが増えたことで、さらにその後3年以上トップアイドルを維持し続けることができた... 

私は、このCBSソニー(酒井政利)の戦略を、個人的に山口百恵の「二毛作」と呼んでいる(笑)。