日本敗戦直後(昭和25年)、週刊朝日の「問答有用」で徳川夢声と対談した服部良一は、「ぼく改心したんですよ」と自身の心境の変化について語っていた。

「あなたの歌は陽気だからいいですよ、おおむね日本の流行歌は陰気でしてね。」という徳川夢声の話を受けて。

 

 

「ぼく改心したんですよ。前にはたいへん憂鬱な歌を書いていたんですね。たとえば『別れのブルース』『雨のブルース』『湖畔の宿』みんなそうです。日本の島国的な淡いセンチメンタリズムにあきたらなくなって、終戦後、方向を変えたんです。ことに最近は、明るいもので流行するもんなら、その方がよっぽど日本のためになるんじゃないかということを、まともに考え出してきましてね。」

 

「東京ブギウギ」は、この改心から始まった。

 

(出典:服部良一 『僕の音楽人生』日本文芸社)