「歌謡曲としてのシャンソン」なんて言うと、変な定義づけをするなとお叱りを受けるかもしれない。

でも、昭和30~40年代では、ブルースの淡谷のり子やタンゴの菅原洋一など、いろんなジャンルの歌手が唄っていたわけで、歌謡曲は幅広かったと言えまいか?

「誰もいない海」なんかは、夫でピアニストの内藤法美が越路吹雪のために書いたオリジナルで、和製シャンソンなんて呼ぶ人もいないではないが、歌謡曲と言っても異論は出ないに違いない。

 

 

正直に言えば、フランス留学し現地で暮らした私にしてみれば、越路吹雪にパリを感じることはほとんどない。もとはシャンソンの曲に岩谷時子の訳詞を付けて歌ってはいるが、フランスでも日本でもない彼女たち二人が創り出した非日常の世界を描いている。そういう意味で、洋楽カヴァーの歌謡曲と呼んでも良いのではないか? 

シャンソン系の歌謡曲。

そこに越路吹雪がコーちゃんと呼ばれ、多くの人たちに愛された理由があると思っている。

 

逆説的な言い方をすれば、私には、美輪明宏の「ヨイトマケの唄」の方がよりシャンソンらしく思える。その底流にある精神(エスプリ)がよりフランス的だと言う意味で。

 

さて、今年(2024年)、そんな越路吹雪が生誕100年ということで、3月2日土曜日午後に銀座8丁目にあるライブハウス「月夜の仔猫」でコーチャン・トリビュートライヴを開催予定だ。

昭和歌謡も特異なシャンソン歌手の秋山美保とクラシック歌手の岩崎芳佳をゲストに大美賀彰代のピアノでおおくりする。私もは越路吹雪について少し解説するので、ぜひお越しいただきたい。