山口百恵には阿久悠・作詞の歌が無い。
その理由は、スター誕生の予選会の時に、審査員をしていた阿久悠が「君は、何か青春スターの妹役のようなものならいいけど、歌は諦めた方がいいかもしれないね。」とコメントしたことに山口百恵がショックを受け、それがずっと棘のように心に残っていて、以降彼の作詞を拒否し続けたということになっている。だが、本当にそれが理由だろうか?
私は違う見方をしている。
阿久悠は、作詞で歌を作り込もうとするタイプだったと思う。自分で描いた世界を歌手に演じさせるのだから、歌手自身に個性があり過ぎると困ってしまう。
しかも、デビュー当時の山口百恵は、何かわからないが魅力的なものを内に秘めたタイプなものだから、彼女に適した世界をイマジネーションすることは難しい。
桜田淳子やピンクレディのように、作り物の世界を理解して素直に入り込める歌手の方が阿久悠にとっては扱いやすいに違いない。
山口百恵に「私の青い鳥」や「ペッパー警部」を歌わせることはできない。彼女は、自分の中のもっと奥深い部分から発露される情念のようなものを与えられた歌の中で表現して行くタイプで、阿久悠の書く歌詞には不向きな気がする。
阿久悠は、山口百恵のサイド(プロデューサーの酒井政利)からオファーが来ないことをいいことに、実は、ホッと胸を撫で下ろしていたのではないか、と想像している。
ここまでが私の直感で、この話はもっと調査研究してから、note で発表したいと思う。