最近のフランスの歌を聴く機会がありますが、ストーリーが無いものが多いです。

エディット・ピアフが初めてのお芝居に際して、「私はシャンソンで物語や台詞に慣れているから、演劇も大丈夫。」と自信を持っていたことや、ジュリエット・グレコが「シャンソンは、2、3分間の演劇です。」と言ったのは、遠い昔のこととなってしまいました。

 


なんでそうなってしまったのか?

いろんな理由が考えられるのですが、一番大きいのはアメリカニゼーションだと思います

パリ解放の時に、それまでのドイツ兵に代わり、連合軍のアメリカ兵が大勢やって来ました。彼らの好む歌は、当然、物語性のないアメリカン・ポップスです。

その後、プレスリーがあって、ビートルズがあって、どんどん英米系の歌が流入するようになりました。イエイエは、英語の歌をフランス語に訳詞して歌い始めたものです。

だから、語り中心の昔ながらのシャンソンは、古臭いものになってしまい、売れるためには変容せざるを得なかったわけです。

その流れが今に続いているのだと思われます。