以前、或る方から「先生はシャンソンの歌詞の解説をされていると伺ったのでお願いしたいのですが、Plaisir d'amour の歌詞の意味を教えていただけますか?」と連絡をいただいたことがありました。

「シャンソンではないですが、お教えできます。」と答えたので、「えっ!」と驚いておられました。

 


Plaisir d'Amour,(イタリア語では Piacer d'amor)は、ジャン・ポール・マルティーニが作曲した歌曲です。作詞はジャン・ピエール・クラリス・ド・フロリアン です。もともとはフランス語ですが、イタリア語で歌われることが多いです。

 

 

そう言えば、三島由紀夫がクラシックの歌手に「君はシャンソンも歌うのかい?」と尋ねたところ、相手は憤慨して「もちろんフランス語でも歌うけど、僕が歌っているのはメロディだ。」と言い返したのだそうです。

フランス語学習では chanson は歌と訳すのですが、音楽用語でのシャンソンは大衆歌のことを指しており、クラシックとは一線が画されています。シャンソンとメロディでは、ジャンルだけでなく歌唱方法も異なります。

博学な三島由紀夫でも、その違いを詳しく知らなかったわけです。