安井かずみに関する書籍を一気読みして、二度にわたりnote に書いたのですが、書きそびれたエピソードがありますので、ご紹介します。

吉田拓郎が1986年に音楽プロデューサーとアレンジャーに加藤和彦、そして作詞に安井かずみを迎えたアルバム「サマルカンド・ブルー」を創作していた時の話です。

 

 

打ち合わせのため加藤・安田宅に行ったのですが...

 

中に入ると、まるでホテルの部屋のようにまったく生活感が無い空間で驚いたそうです。

普通、夫婦で10年暮らせば、もっと生活臭が漂うようはずなのに「これはオカシイ」と感じたのだそうです。

二人して架空の夫婦像を作ろうと努力している感じだったと言うのです。

 

そして、徹夜で作業して、翌朝、安井かずみが朝ご飯を用意してくれたのが、パンケーキだったのですが...

市販の「ホットケーキミックス」の甘くて安物の味がして、「こんなもの食ってるのか?」と驚いたそうです。

 

世間では、理想の夫婦と思われていて、当然輸入食材を使って高級なパンケーキを焼いているイメージだったわけです。吉田拓郎にすれば、虚像と実像のギャップに気付き、愕然としたのだそうです。

 

出典:島崎今日子「安井かずみがいた時代」集英社