note(11月11日)に「美輪明宏はなぜ作家たちにモテたのか?」という記事を書きました。

 

 

 

この記事で美輪明宏が作家たちと文化について話ができるほど知識があったと書きました。

 

類似するエピソードを加賀まりこが自書に記していましたので、ご紹介します。日生劇場で「オンディーヌ」を主演した時、舞台装置に照明が入った瞬間、あまりの別世界に驚いたそうです。

 

思わず息をのみ「ワァーッ、すごい!」と口走った私に、石原(慎太郎)さんが言った。

「キミね、そういう表現はみっともないよ。人はもっといろんな語彙を持っているはずで、感想を述べる時に”ウァ、すごい” で片付けるのは、いかにキミのボキャブラリーが貧困かってことだよ。女優として恥ずかしいと思いなさい。」

スパーン!と心に飛び込んでくる言葉だった。

 

「これは私が訳詞しました。」とか「これは〇〇さんが訳詞してくれました。」と言ってからシャンソンを謳う歌手がおられますが、時折ありきたりの言葉遣いを聞かされて、とても残念な気分になることがあります。

感想を訊かれて、私がこういう点が云々と具体的に語らず、「良かったですよ。」とあっさり答える時は、心の中では石原慎太郎と同じようなことを思っていると察してください(笑)。

 

出典: 加賀まりこ「純情ババァになりました。」講談社