平尾昌晃が生前こう言っていました。

「ZUZUも岩谷時子さんもなかにし礼さんも訳詞から出発してますが、この三人は原曲をただ訳すだけでなく、自分の言葉に置き換えて表現していて、唸らせる。詞は書こうと思ったら誰でも書けます。だけど、自分の言葉で表現することと、言葉をリズムにのっけるということは誰にでもできることではありません。」

 

 

ZUZUは、安井かずみのニックネームです。

 

3人ともシャンソンやカンツォーネ(ZUZUの場合は英語のポップスも)の訳詞から入って、作詞をするようになったわけです。ということは、最初に原曲のメロディやリズムがあって、そこに日本語を載せていく作業の経験が豊富だったと言えます。

 

平尾昌晃は作曲家の立場で、予め出来上がった曲に詞をつける能力の高さが3人にはあったと認識していたわけで、シャンソン界としてもとても誇らしい話だと思います。

 

 

出典:島崎今日子「安井かずみがいた時代」集英社