出演者が多数のオムニバス形式のコンサートが面白くないという話をブログに書いたら、ある方から矢向亜弓さんが演出しているホールコンサートは素晴らしいので是非一度行って欲しいと言われました。

矢向さんのX(エックス)に今年9月に内幸町ホールで行われた「私のパリ物語」の全編がアップされていましたので、拝見・拝聴させていただきました。

その感想は?

 

 

全体を通して矢向さんの才能の片鱗を感じました。

 

このコンサートは、たぶん、シャンソンを知らない若い世代を対象にされて構成されたのではないかと想像されます。さらにレベルアップした上級者用の「私のパリ物語」を次回はお願いしたいと思います。日本のシャンソンの既成概念を覆すような大胆な試み(essai)を期待しています。

 

矢向さん自身が歌われた「パダン、パダン」は歌の理解度、演技力、歌唱力ともに素晴らしかったです!他の歌から突出していました!在住経験のある人間が感じるパリの陰鬱さ、閉塞感、切迫感などを思い出して、まさにパリに相応しいシャンソンでした。Bravo !

旅行者視線で表面的な華やかさを見がちなパリは、実はその裏にある闇の部分と対(つい)にして考える必要があるのです。 

 

パリを直接歌ったシャンソンがもっと多くても良かったのではないかという点、オープニングで「オー・シャンゼリゼ」を出演者全員で歌ったり、「愛の讃歌」からの「ろくでなし」の越路吹雪の黄金メドレーなど、やや陳腐な箇所もありましたが、最初に書いたとおりシャンソンを知らない人を対象とした入門編と考えれば、納得がいきました。

 

素晴らしい試み(essai)をされておられるので、今後も頑張っていただきたい!と、矢向さんに心からエールを送りたいです。