少し前にジュリエット・グレコのルーティンについて書きましたが、今回は、楽屋に置くものについてです。
日本が大好きだった彼女は、最初に来日した時に買った大きなハンカチを楽屋に飾っていました。日本んモチーフ(絵柄)を見ると心が休まると伝記に書いています。
そして、熊のぬいぐるみです。
第二次世界大戦の直後にドイツのドレスデンでコンサートがあり、ジュリエット・グレコは歌いました。
ドレスデンと言えば、爆撃を受けて市内中心部はほぼ灰燼に帰していたのですが、図書館だけが焼け残っていて、そこが会場となりました。
歌い終わったら、小さな女の子が出待ちをしていて、熊のぬいぐるみを差し出しました。そして、「私にはこれしかありません。プレゼントします。」と言ったのです。
戦禍の中、肌身離さず持っていたぬいぐるみだと直ぐに気付いたので、ジュリエットは動揺してしまい、お礼がぎごちなくなったのだそうです。
それ以来、彼女は、ツアーのたびにこの熊を携帯し、楽屋には必ず置いていたのだそうです。
出典: Juliette Greco "Je suis faite comme ça" Flammarion