歌謡界の三人娘で思い浮かぶのは誰でしょう?

世代によって違ってくると思いますが、私にとっては、小柳ルミ子、南沙織、天地真理になります。

もしかしたら、そんな三人娘ってあったの?とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが...

 

de

 

表側は、綺麗に彩られて見える芸能界ですが、裏側は想像を絶するような濁流が流れていると言われます。

 

南沙織は、自分を大切にするタイプだったので、そんな芸能界の汚さを嫌って、休業の後、あっさりと引退してしまいました。

反対に芸能界に馴染み、プロ根性を発揮したのが小柳ルミ子でした。

残念ながら、その二人の中間にいて、中途半端になってしまったのが天地真理でした。

人気に陰りが見え始めた頃から、彼女の奇行が目立つようになりました。ラジオの本番直前にいきなりラジオ体操を始めたり、「今度の新曲は?」と訊かれて「私、あの曲嫌いなんです。」と答えたり、レコーディング・プロデューサーの酒井正利にいきなり電話を掛けてきて、「今、私、デパートの屋上にいるんですが、デートの約束をした彼が来ないんです。」と言ったりしたそうです。青山通りで先輩歌手とばったり出逢って、突然大声をあげて泣いたり、情緒不安定になっていました。

それに追い打ちをかけるように、「実は彼女はソープ嬢だった。」とか、「彼女は顔を整形している。」とか根も葉もない噂がたち、ますます精神的に追い詰められました。

芸能界には残りたい、でもいまひとつ馴染めないという狭間で心が揺れていたのだと思います。

酒井によれば、天真爛漫で純粋な女性だったのが、逆に作用してしまったのではないかとのことでした。

大学生だった私は、1977年頃休養中の彼女を渋谷の公園通りで見かけたのですが、変装はいっさいせず素顔で、昔のまりちゃんのままでした。少し様子はおかしい感じもしましたが、性格の良さそうな大人しそうな女性でした。

 

 

出典:酒井正利「神話を築いたスターの素顔」 文藝春秋