嘗て La chanteuse de minuit(真夜中の女性歌手)と呼ばれた人がいました。1958年から1964年まで l'Écluse(レクリューズ)の看板歌手として活動した Barbara(バルバラ)です。その6年間弱のレキュルーズ時代に、彼女の歌のスタイルとそして名声が確立したと言っても決して過言ではありません。

 

 

人気に火が付けたのは、同じ左岸にあるカルチェラタンの学生たちでした。彼女の知性溢れる歌詞が人気になったからです。

1958年7月12日には、Cabaret du soir(夜のキャバレー)という番組で初めてのテレビ出演をしているのですが、女性司会者がバルバラを19世紀にパリで一世を風靡した歴史上の歌手・Yvette Guilbert(イヴェット・ギルベール)に譬えて、「彼女は間違いなく大スターになる。」と言わせました。

レキュルーズを去る1964年のアルバム "Barbara chante Barbara"(バルバラがバルバラを歌う)には、ピエール、リヨン駅、ナントに雨が降るなどの名曲が入っていて、既にアーティストとして確立されたことが伺えます。

同じ店に長く出続けることで、まるでワインが樽の中で熟成されていくのと似ていて、まろみ、コク、味わい深さ、いろんな成長を遂げたのかもしれません。