あの頃 ひとりの歌い手がいた

で始まる、ペギー葉山の「シャンソン」をご存知でしょうか? アダモが作曲し、岩谷時子が作詞しました。

「ひとりの歌い手」とは、もちろん越路吹雪のことです。

 

 

あの頃 ひとりの歌い手がいた

さびしい声で  明るい歌を歌っていた

人生の歌 恋の歌

生きている よろこびの歌

都会(まち)の人は ほほえみ乍ら耳を傾ける

シャンソン これがシャンソン

シャンソン これがシャンソン シャンソン

 

これが岩谷の越路吹雪のイメージなんだなぁと思います。

 

 

2番も越路のイメージが続きます。

 

舞台に 花咲く歌い手がいた

ライトの下で せつなく歌を歌っていた

捨てられた歌 愛の歌

すぎてゆく 年月(としつき)の歌

お客たちは 酔いしれながらそっと涙ぐむ

シャンソン これがシャンソン

 

そして、3番。ここからがこの歌の優れたところです。

 

いまでも たくさん歌い手がいる

心をこめて いろんな歌を歌っている

旅に出る歌 冬の歌

しあわせを 待つ人の歌

いなくなった歌い手ひとり 声が残るだけ

シャンソン これがシャンソン

 

私には、岩谷時子がこの3番の歌詞を通して、以下のように言っている気がします。

 

歌い手の皆さん、コーちゃんはもう此処にはいないけれど、お客様をほほえませ、酔わせ、涙ぐませるよう、あなたたちが引き続いて、心を込めてシャンソンを歌い続けてくださいね。ずっと見守り続けていますから。

 

ひとりの歌い手を語るようで、実は、シャンソン歌手一人ひとりへのメッセージを送りたかったのだと思います。

 

 

image