いろんな友達から「パリタクシー」を観ることを薦められ、映画館に行ってきました。
始まって直ぐに涙目になり、ずっと泣いていたのですが、それは、ストーリーというより、タクシーの車内から見たパリの街並みが懐かしかったからです。
銀行員としてパリに駐在していた当時、私は毎日車で通勤していました。そして、休みの日もドライヴしていて、つまり毎日車窓からパリを眺めていたのです。
映画の中に見えるパリは、その頃とまったく変わっておらず、懐かしくて、懐かしくて、何かわかりませんが心の奥から込み上げて来るものがあり、それで泪したのです。
ヘミングウェイは、晩年、若い友人にむかって、こう言ったのだそうです。
「もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどでで過ごそうとも、パリはついてくる。」と。
私の場合、毎日シャンソンを聴いているので、歌詞にはパリが出て来るのですが、風景は忘れがちです。それが、映画で小一時間以上風景を観ることができて、すっかり思い出すことができました。まさに、「パリはついてくる」です。