クロード・ルルーシュは、1964年に「乙女と猟銃」という映画を作りましたが、売れませんでした。それに出演していたピエール・バルーは、クロードから「次はこんな映画を作りたい。」と相談を受けました。
ストーリーは未だ書かれておらず、「もう死んでしまった男性と、その男性を思い、彼との過去の想い出の中に生きる女性」というシチュエーションだけがありました。
二人で一緒に考えていくうちに、「男と女がいるというだけでなく、女が別の男と恋に落ちたら、もっとおもしろいんじゃない?」ということになりました。
そして、配役は、死んでしまった男がピエール・バルー、彼を思う女がアヌーク・エメ、別の男がトランティニアンとなったのです。
ピエール・バルーは、一緒に音楽活動していたフランシス・レイにその映画の音楽を担当させたかったのですが、彼はニースからパリに出て来て、バーやキャバレー、時にはストリートで歌う売れないミュージシャンだったので、クロード・ルルーシュは最初は(素性のわからない若者という理由で)嫌がったのだそうです。当時の映画と言えば、音楽はオーケストラが相場だったこともあります。
そこで、仕方ないのでバルーは。ルルーシュを当時レイの住んでいたモンマルトルまで無理矢理連れて行って、レイにアコーディオン弾き語りで既に作っていた曲を歌ってもらったのです。
すると、ルルーシュがその歌を気に入って、それで、その曲・「男と女」が映画のテーマに決まったのです。映画を撮る前に。
ピエール・バルーの強引とも言える荒業が無かったら、この曲もこの映画も無かったことでしょう。
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