ミシェル・サルドゥー(Michel Sardou)の Si l'on revient moin riche(直訳で、「もし僕たちが貧しさに戻ったとしても」)は、矢田部道一さんが「青春の旅立ち」というタイトルを付けられて訳詞されましたが、原詞の内容は違っている話は、前に書きました。

実は、ミシェルにはもう一つ、「夫婦で旅に出ようよ」というシャンソンがあります。

 

 

Si l'on revient... の方は、若い頃貧しかった夫婦が歳を取り、ほどほど裕福になって、夫が次のヴァカンスについて提案している歌です。

もう一度馬鹿げたことをしてみようよ、行先を決めずに旅に出ようよ、ヨットに乗ってどこかへ失踪してしまおうよ、一か月、いや一年でも。また、貧しくなるかもしれないけど、僕たちはお金持ちになりたいわけじゃない、太陽が溢れ、鳥たちがさえずる島、地上の楽園をさがして、旅立とうよ、と。

 

 

その続編ともいうべき歌があります。

Les vieux mariés(日本語詞のタイトルは「永遠の絆」)です。 

 

 

歌詞を少し訳してみます。

 

On vient de marier le dernier.
Tous nos enfants sont désormais heureux sans nous.
Ce soir il me vient une idée :

Si l'on partait comme deux vieux fous,
Comme deux vieux fous.

最後の一人が結婚したばかり

子供たちは全員、いまや私たち無しで幸せだ

今晩、僕は思いついたよ

旅に出ようよ

馬鹿げた二人の老人として

 

On habiterait à  l'hôtel.
On prendrait le café au lit.

On choisirait un p'tit hôtel
Dans un joli coin du midi.

ホテルに泊まろうよ

ベッドでコーヒーを飲もう

小さなホテルを選ぼう

南仏の綺麗な場所で

 

On a toujours bien travaillé.
On a souvent eu peur de n'pas y arriver.
Maintenant qu'on est tous les deux,
Si l'on pensait à  être heureux,
A être heureux.

いつもよく働いたよね

時々上手く行かないかもと心配した

今、二人だけになった

幸せになることを考えようよ

幸せに

 

子供が全員独立して肩の荷が下りた老夫婦の夫が旅に出ることを提案しています。

この歌は、Si l'on revient... とは違い、訳詞にほとんど違和感はありません。

 

 

2020年の9月に引退したミッシェル・サルドゥーは、果たして奥さんと二人で南仏に旅行できたのでしょうか? 歌だけで終わっていないことを祈ります。