アンテルプレット(interprète)のジュリエット・グレコ(Juliette Greco)が彼女自身で作詞したシャンソンがあるというのが、前回の話でした。
では、どんな歌詞を書いていたのでしょうか?
ジュリエット・グレコが自ら作詞した作品に、Le mal du temps があります。
歌詞の一部を引用すると...
Amour impossible
Je ne peux pas te raconter
Je vais t'emporter dans mon île
Te garder mon trésor caché
Te garder sous mes paupières
Où sont les îles sous le vent
Et t'emporter dans ma tanière
Dans le septième arrondissement
不可能な恋愛
私はあなたにそれを語れない
あなたを私の島に連れさろう
あなたを秘宝として放さない
瞼の下には風の吹く島がある
そこであなたを放さない
そして、(パリの)7区にある隠れ家に
あなたを連れて行こう
前回、ジュリエット・グレコの自叙伝を引用しましたが、そこで彼女が書いているように、まさに感情が生み出した歌詞ではないでしょうか? 表面上は落ち着いて冷静に見えますが、心の中では激情が渦巻いていた人なのかもしれません。
Ces mots sont mes sentiments. Ils ne sont pas le fruit de ma raison, mais le fruit de mes émotions.
その言葉は、私の感情だ。それらは、私の理性の産み出されたものではない。むしろ、私の感情の産物だ。
(出典: Juliette Gréco "Je suis faite comme ça" Flammarion)