フランス語には、アンテルプレット(interprète)という言葉があって、シャンソンで使われる場合、自分ではない別の人が作詞・作曲された歌を解釈して自分独自の表現方法でレコーディングしたり、観客の前で披露する人を言います。

ジュリエット・グレコ(Juliette Greco)は、その代表的な人なのですが、実は、彼女自身で作詞したシャンソンがあります!

 

 

アンテルプレット(interprète)は名詞ですが、元になる動詞は、interpréter で、一般的には「翻訳する」という意味で使われることが多いのですが、シャンソンの世界では、昔から「創唱する」という言葉が使われています。となると、アンテルプレット(interprète)は、創唱者となるのですが、どうもしっくりこないので、私は、そのままカタカナでアンテルプレットと呼んでいます。

 

ジュリエット・グレコは、自ら作詞するようになった経緯を自叙伝で以下のように書いています。

(出典: Juliette Gréco "Je suis faite comme ça" Flammarion)

 
Je ne me considère ni comme un poète ni comme un auteur, mais il m'est arrivé d'écrire des poèmes.(...) Ces mots sont mes sentiments. Ils ne sont pas le fruit de ma raison, mais le fruit de mes émotions.
私は、自分のことを詩人とも作詞家とも思っていないが、詩を書くようになってしまった。(中略)その言葉は、私の感情だ。それらは、私の理性の産み出されたものではない。むしろ、私の感情の産物だ。
 
この叙述からもわかるように、ジュリエット・グレコは、自分の感情の昂りから言葉を綴らざるを得なくなって、それを文字にして書いたということです。その文字の羅列が歌詞になって行ったというわけです。
彼女が作詞した “Le Mal du temps”を貼り付けておきます。

 

 

次回は、彼女の作詞したシャンソンについて掘り下げて書きたいと思います。