シンガーソングライターは、どうやって歌を書いているのか?

この興味ある質問に対して、シャルル・アズナヴール(Charles Aznavour)が衝撃的な告白をしています。


 

シャルルは、若い頃、誰も自分のために歌詞を書いてくれないし、作曲もしてくれないので、仕方なく自分で書き始めたのですが...

 

Je n'ai pas d'inspiration, curieusement je n'ai aucune inspiration. Je n'ai pas d'imagination pour écrire des chansons.[...] Je ne sais pas comment vient une chanson. Je trouve beaucoup d'admiration pour les gens qui savent tout. Moi je ne sais pas grand-chose, mais je le fais.

〈出典: le 21/07/2005 sur France Culture〉

 

私には、インスピレーション(発想)がありません。不思議なことに、インスピレーションが全くないのです。シャンソンを書くための想像力もありません。(中略) どうやってシャンソンができたのか、自分でもわかりません。私は、(シャンソンを作るための)全ての能力を持つ人々を賞賛したいです。私自身は、ほとんど能力はないのですが、でも、それ(シャンソン)を作っています。

(ジャンマリ・訳)

 

多くの名曲を作ったアズナヴールですが、インスピレーションが無いと告白しているのは、衝撃的です。果たして、インスピレーション無しにシャンソンを作ることなんて、できるのでしょうか?

不思議に思えますが、私は、以下のように解釈しています。

 

アズナヴールが言いたかったのは、ノートや楽譜を前にして、パッと何かが閃いて、いきなり書き始めるような、モーツアルトのようなそんな風にシャンソンを作っているんじゃないということです。いついつまでにアルバムを作らなければならない、いついつのコンサートのために新曲を用意しなければならない、というような必要に迫られて、才能が無い自分なのに、もがき苦しんでやっとの思いでシャンソンの形にしているのだと。自分は、才能ではなく、努力で何とかこれまでやって来たのだと。

 

おそらくかなりの謙遜が含まれていることでしょうが、アズナヴールがどれだけシャンソンに対して真摯に向き合ったのか、どれほど苦労をしたのかを想像させるインタヴューだと思います。