ミシェル・ルグラン(Michel Legrand)の Les moulins de mon cœur(日本語題名:風のささやき)について、フランスの哲学雑誌の編集長・Martin Legros(マルタン・ルグロ)が言うには...

 

 

日常生活の些細な事には法則が潜んでおり、それらを分析することで哲学者は何かの真理を見出そうとしているそうです。

 

まずは、Les moulins de mon cœur(風のささやき)をお聞きください。

 

 

 

Le voyage autour du monde
D´un tournesol dans sa fleur

ひまわりの花の中にも

世界一周旅行はある

Tu fais tourner de ton nom
Tous les moulins de mon cœur

君の名前によって

僕の心の中の全ての風車が回り出す

 

哲学的に解釈すると、周りの自然現象に自分の心の内の恋愛を見出すこと、そして、君の名前を聞くだけで心の中で風車が回ること、この二つの現象は、外なるものと内なるものとの一種の融合と共鳴であって、それを見事にこの歌詞は表現しているとのことだそうです。難しいですね(笑)。

 

哲学者にしてみれば、シャンソンは、日常の些細なことの一つだと思われますが、なんだそんなものとは思わずに、そこに哲学を見出そうとする辺り、フランスらしいというか、そんな感じを強く受けます。

19世紀の哲学者は、作家・フローベルの小説の中に哲学を見出そうとし、21世紀の哲学者は、ミシェル・ルグランのシャンソンを取り上げる、こうした試みは、称賛に値すると思います。