川端康成の名作「雪国」がフランス語にどう訳されたか、を解説しています。

Pays de neige : Texte français par Armel GUERNE

 

 

悲しいほど美しい声であった。高い響きのまま夜の雪から木魂して来そうだった。

Il y avait une telle beauté dans cette voix qui s'en allait, haute et vibrante, rouler comme un écho sur la neige et dans la nuit; elle possédait un charme si émouvant, qu'on en avait le cœur pénétré de tristesse.

 

「悲しいほど」について、elle possédait から de tristesse. まで、長い説明がなされています。たぶん、フランス語では、「悲しくなるくらい美しい」という感情表現が存在せず、「その魅力があまりに感動的なので、悲しみに浸るような気持ちになる」と説明しています。

 

日本語の方がずっと感覚的で、「悲しいほど美しい」という言葉自体が人々が共有する感情表現となっているので、長々説明が要らないのですが、フランス語では、それを補足しないと、唐突な感じになって、読んだ人が理解できないのだと思います。