川端康成の名作「雪国」がフランス語にどう訳されたか、を解説します。

Pay de neige : Texte français par Armel GUERNE

 

 

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。

Un long tunnel entre les deux régions, et voici qu'on était dans le pays de neige.

 

つい、「抜けると」を書こうとして、Après avoir traversé un long tunnel と書きたくなってしまいますが、名詞で初めて、et voici で繋いでいます。素晴らしい。

 

夜の底が白くなった。

L'horizon avait blanchi sous la ténèbre de la nuit.

 

ここは、日が暮れて暗い夜になっても、夜空の下の方、つまり地上との境目のところは、まだほの白い明るさが残っている様が描写されています。

だから、夜の暗闇の下で、地平線が白くなっていた、と訳しています。

 

娘は窓いっぱいに乗り出して、

Penchée à l'extérieur autant qu'elle le pouvait,

 

「窓いっぱいに」の「窓」は、省略されても意味は通じますね。

私なら、Penchée à l'extérieur de la fenêtre le plus possible, とやるところです(笑)。

autant qu'elle le pouvait の箇所は、流石だと思います。