映画「最強のふたり」から、これもフランス語講座で取り上げたワンシーンです。

 

富豪のフィリップが画商に絵を買いに行った場面です。キャンバスの上に鼻血がしたたっているような絵を見て、何でこんなもの価値があるのかと怪訝に思うドリスに対して、フィリップが問いかけます。

 

- A votre avis, pourquoi les gens s'intéresse à l'art ?

- Je sais pas. Ça, un business ?

- Non. Parce que c'est la seule trace de notre passage sur    

  Terre.

 

フ: 君の意見では、どうして人はアートに興味があると思う?

ド: 知らない。ビジネスのためですか?

フ: 違う。それは、地上で我々が唯一残せる足跡だから。

 

この台詞、初めて聞いた時からビビッときました。

人生が旅路だとすると、私たちは、その長い道程を一歩一歩進んで行く。もちろん、ただ歩くだけでは、一瞬足跡は残っても、直ぐに消えてなくなってしまう。だから、はっきりと足跡を残したいと思った人がアートを創って残していく。つまり、アートは、ただ歩くだけの人たち(普通の人たち)からすると大きな憧れであり、当然興味を持つもので、お金を出しても手元に持ちたいと思わせるものになりえる。ドリスが言うように「お金のためにアートを創作する」のではありません。でも、人が求めることで、結果として金銭価値を持つことになります。地上に自分の足跡を残せるのは、アーティストだけなのかもしれません。