山形銀行は1日、山形大学発ベンチャーのアプリザイム(山形県米沢市)と投資契約を結んだと発表した。有毒物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)を微生物で無害にする事業に取り組む同社を支援する。ファンドを通じ3000万円を投資する。リスクマネーで新産業を育てる。
山形銀が野村ホールディングス子会社と設立した10億円のファンドを使う。同ファンドは2013年から10年間を投資期限に設定している。投資先は人工クモ糸製造のスパイバー(同県鶴岡市)に次ぐ2例目。
同日、山形市内で会見した長谷川吉茂頭取は現在約40社の投資候補と交渉中だと明かした。「リーマン・ショック以降、10年後の山形県の成長発展にどう寄与するかを考えている」と話し、長期でのリスクマネーを提供する考えを強調した。
アプリザイムは油圧機器大手のKYBと、微生物を使った装置を車両で持ち運びPCBを処理する事業開発に着手した。新国時生社長は「2020年に上場を果たしたい」と話し、海外展開にも意欲を示した。
「山形銀、山形大発PCB無害化ベンチャーに投資」
微生物を使ってポリ塩化ビフェニール(PCB)を無害化する先端技術を持つ山形大学工学部発のベンチャー企業アプリザイム社(米沢市・新国時生社長)は、山形銀行などが設立した「やまがた地域成長ファンド」と3千万円の投資契約を結んだ。資金は研究設備費や原料費に使い、事業化を目指す。
同社や山形銀行、山形大が1日に会見で発表した。このファンドは地域に成長をもたらす有望な新進企業を支援するもので、山形大発のベンチャー企業が投資を受けるのは初めて。
同社は工学部の原富次郎教授の研究成果をもとに2011年に設立された。有害物質のPCBは焼却処理や化学処理が主流だが、微生物を使って処理すると、費用を3分の1以下に抑えることが可能だという。ただ、事業化には環境省の技術認定が必要となるなど、ハードルも高い。
山形銀行の長谷川吉茂頭取は「アプリザイム社の技術は公共性が高く事業化への道筋も見えている」と投資理由を説明、山形大の小山清人学長は「事業化に向けたノウハウは大学に足りない。山形銀行の支援はありがたい」と話した。(米沢信義)