NTTリストラ裁判速報

061003  札幌勝利判決 本部NEWSより

原告団 「11万人リストラ断罪」

札幌地裁判決

 原告(馬場・阿部・森・木内・石黒)につき、

            本件配転の業務上の必要性は認められない   

                                                  (判決文より)


NTTが2002年におこなった11万人リストラにともなう広域・不当配転は無効だと訴えていた「NTTリストラ
北海道訴訟」で札幌地方裁判所(笠井勝彦裁判長)は29日、「配転はいずれも権利(人事権)の乱用で
あり違法」として、原告5人に全面勝訴の判決を言い渡しました。


NTTの11万人リストラの違法性を問う裁判は現在、札幌、東京、静岡、大阪、松山の五地裁であらそわれ
ています。名古屋では昨年、原告の勝利和解が確定しており、初の司法判断として注目されていました。

笠井裁判長は、NTTのおこなった原告への配転について「いずれも業務上の必要性がなく、または、配
転障害事由(親の介護の必要性など)があるのに行われたもので、違法」だと断定し、原告全員に慰謝料
を認め、計300万円の支払いを命じました。


NTTは、「グループ三カ年経営計画」にもとづいて51歳になった労働者すべてにたいし退職を迫り、賃金
を15%から30%ダウンさせ子会社に再雇用するというリストラをすすめました。

これに応じない労働者にたいし、一方的に遠距離・配転をおこない、見せしめとしました。


北海道訴訟原告団、弁護団、通信労組は連名で、「今回の判決は、NTTの十一万人リストラそのものを
断罪するもので画期的」との声明をだしました。


北海道訴訟原告団の阿部昭彦団長は、報告集会で「私たちと支援してくれた人たちの勝利です。50歳
定年はいまも続いています。NTTは判決をしっかり受け止めリストラをやめてほしい」とのべました。


全国原告団の鎌倉清美団長(通信労組中央副委員長)は「札幌での全面勝訴判決は、全国で争ってい
る各裁判に大きな影響を与えます。ひきつづき先頭にたってがんばりたい」と話しました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2006年9月30日(土)「しんぶん赤旗」より ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



NTTリストラ北海道訴訟・札幌地裁判決要旨            2006年9月29日


配置転換命令が権利の濫用であるとして、被告(東日本電信電話株式会社)に対する原告ら5名(被告
の従業員及び元従業員)の慰謝料請求の一部(4名につき50万円、1名につき100万円)が認容された
事例。


1、本件配転命令は、被告の構造改革等に基づき、固定電話に関する業務等を外注委託化することに
  伴い、従業員の雇用形態及び処遇体系の見直しの一環として行われたものであるが、そのような計画
  の策定等は、被告の経営判断に基づくものであり、これが不合理であったとか、不必要であったとはい
  えない。


2、 しかし、原告らに対する個別の配転命令は、いずれも業務上の必要性がないのに、又は、配転障害
  事由(親の介護の必要性等)があるのに行われたものであり、違法であって、原告らに対する不法行
  為が成立する。


3、原告らに対する慰謝料額は、その個別の事情等も考慮して、50万円ないし100万円が相当である。


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           声      明


1、本日、札幌地方裁判所民事5部は、NTTリストラ北海道訴訟について、原告全面勝訴の判決を言い
渡した。


2、 NTTが2002年5月に行った11万人リストラの違法性を直接問う裁判であり、現在、札幌、東京、
静岡、大阪、松山の5地裁でたたかわれている。NTTの11万人リストラとは、韓国の国家予算(7兆円
)を上回る内部留保約8兆円、グループ従業員約20万人という巨大企業NTTが利益の極大化のみを
求めて、(1)51歳になった社員をすべて退職させ、NTT東・西日本会社が新たに100%出資でつく
った地域新会社(OS会社)に15~30%の賃金ダウン(北海道の場合は30%)で再雇用し、(2)退職
に応じない者は、今までのキャリアや技術と本人や家族の生活も無視した異職種・遠隔地配転を行っ
たものである。かかるNTTリストラにおいて、NTTを「退職しない」ために、みせしめとして行われた異
職種・遠隔地配転を受けた労働者が、その配転の違法性を問うた裁判がNTTリストラ訴訟である。


本日の札幌地裁の判決は、上記の5地裁の中で、最初に出されたものである。


3、本日の判決は、原告全員について、業務上の必要性がない配転であったことを明確に認めた。
このことは、本件11万人リストラにともなって行われた「満了型とみなされた」労働者の全ての配転に
ついて、その業務上の必要性がないことを裁判所が認めたことにほかならない。

さらに、裁判所は、本件の原告5人の配転がみせしめであるとの認定まではしなかったものの、原告

全員の配転を無効としたことは、本件配転が11万人リストラを強行するためのみせしめであったと評

価したことにほかならない。


その意味で、本日の判決は、11万人リストラそのものを断罪するものであり、正に画期的な判決である。


4、 来春までに他の4地裁の判決が出されることになるが、われわれは、他の4地裁においても、NTTの
11万人リストラを断罪する判決が出されるものと確信する。


われわれは、NTTに対し、本日の判決を真摯に受け止め、控訴をせずに、直ちに、実質「50歳」定
年制である「退職・賃下げ再雇用」制度を止めることを強く要求する。


われわれは、20万人に及ぶNTTグループ労働者全員の労働条件の改善のために、
今後とも、たたかう所存である。


                 2006(平成18)年9月29日

NTTリストラ北海道訴訟原告団
NTTリストラ北海道訴訟弁護団
通 信 産 業 労 働 組


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NTTに支払い命令 リストラ訴訟で札幌地裁■北海道新聞2006年 9月29日 (金) 13:38


NTTグループが2002年に実施した10万人規模のリストラに関連し、子会社への転籍拒否を理由に遠

隔地へ配転したのは違法として北海道内のNTT東日本社員ら5人が一人当たり300万円の慰謝料を求

めた訴訟の判決で、札幌地裁(笠井勝彦裁判長)は29日、原告らの請求を認め同社に総額300万円の

支払いを命じた。


判決理由で笠井裁判長は「配転はいずれも人事権の乱用で違法」と述べた。


02年のリストラをめぐる裁判は全国7地裁で起こされており、昨年8月に名古屋地裁(福岡分を併合)で

和解が成立。現在、東京、静岡、大阪、松山の各地裁で係争中で、判決が出るのは初めて。


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転籍拒否で転勤は「違法」NTT東側が敗訴…札幌地裁■朝日新聞2006年 9月29日 (金) 13:53


NTT東日本(東京)の北海道内の社員5人(うち4人は退職)が、リストラ計画に基づいた子会社への転

籍を拒否したことで遠隔地へ転勤させられたのは違法だとして、同社を相手取り、1人当たり300万円の
慰謝料を求めた訴訟の判決が29日、札幌地裁であり、笠井勝彦裁判長は「配転は権利の濫用(らんよう
)であり、違法」として原告の請求を認め、同社に慰謝料計約300万円の支払いを命じた。


規制緩和などによる競争激化に対応するため、NTTグループが2001年から行った大規模な構造改革
計画を巡っては、社員計40人が、配転の違法性を問う訴訟を東京や大阪など5地裁に起こしている。


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「配転命令は違法」 札幌NTTリストラ訴訟、社員勝訴■朝日新聞 2006年 9月29日 (金) 19:35


NTTグループの合理化計画でリストラに応じず、遠隔地への配置転換を強いられたのは違法だとして、
NTT東日本の社員5人(うち4人は退職)が同社を相手取り、計1500万円の慰謝料を求めた訴訟の判
決が29日、札幌地裁であった。笠井勝彦裁判長は配転命令について「業務上の必要性がなく、権利
の乱用であり違法」として、NTT側に計300万円の支払いを命じた。


配転命令の違法性をめぐる同様の訴訟はNTT東日本や西日本の社員約40人が、札幌を含めて5地裁
で争っており、今回が初めての判決。


判決では、5人の原告それぞれについて業務内容や事情を検討した結果、いずれも命令の違法性を認

定した。


原告は、いずれも道内在住の56~63歳の男女。訴えなどによると、長年ほぼ同じ場所で勤務してきた
が、02年に合理化計画で、賃金カットを伴う子会社での再雇用か勤務地を問わない残留かの選択を
迫られた。回答を拒否すると、遠隔地での異業種への配置転換を命じられたという。


NTT東日本北海道支店は「当社の主張が一部認められなかったことは残念」とコメントした。


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