「日興コーディアルグループの粉飾決算を暴いた男」 | 江戸摩呂日記 ~メディア千本ノック~

「日興コーディアルグループの粉飾決算を暴いた男」

 巨額の粉飾決算を行っても上場廃止を免れた日興コーディアルグループ。旧経営陣が関与した利益操作かてことは、みんな分かっとったのに、上場を維持した東証の判断は、論外だとゆーことを改めて書いてもいいんやけど、今回は、この問題をスクープして、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞 」を受賞した経済ジャーナリストの町田徹 氏を取り上げようと思う。



 この雑誌ジャーナリズム賞は、1995年に始まって、出版社や新聞社の編集者約100人の投票によって、前年の雑誌に掲載された企画や記事を大賞に表彰するものだそーだ。昔からの歴代受賞者は、溝口敦氏や岩瀬達哉氏ら現代屈指のジャーナリストが受賞していて、どえらい権威のある賞だそーで、多くの新聞や雑誌が、「明日、逮捕へ」やら目先の情報の正確さだけを競ったり、ゴシップネタを競い集めるスクープ合戦を繰り広げる中で、ライブドアの粉飾決算事件よりも巨額で悪質なのに見過ごされとった日興の粉飾決算を暴いたとゆー意味で、これこそ真のスクープ記事だと思うんや。


 町田氏の原点は、ウォーターゲート事件や田中角栄元首相の金脈問題とかの報道にあるとゆー。日経時代は、証券スキャンダル、金融制度改革、NTT分割論やらを取材していて、連日一面トップを書き続けたスクープ記者やった。上司からダメ出しが出ると、次の日はもっと大きなネタをつかんで上司に突きつけ紙面化を勝ち取っていった 。かて、新聞記者の寿命は短くて、四十歳ごろになると後輩記者の書いた原稿の手直しや、取材チームの指揮を執る「デスク」業の役が回って来て、現場からの引退を迫らはるらしい。デスクの打診を受けた町田氏は、なんと退社を選んだとゆー。下世話な話やけど日経の年収は新聞業界かてトップクラスや。その安定した生活を捨てて独立、そして 二年足らずでこの受賞作を書き上げたんや。


 ここまで来ると自分とは別世界の人だ…と人ごとに思ってしまうかもしれへんけど、ちーとばかし待ってほしー。摩呂が思うに、だれかて得手不得手はあるから、だれもが町田氏のように骨のあるジャーナリストにはなれへんやろうし、なる必要もあらへんと思う。けれど、どなたはんもが自分の持ち場で町田氏のように誇れる仕事はできると思うんや。目標を達成するために議論を闘わせたやろうか?作戦変更も考えたやろうか?みなやり尽くしたやろうか?ほんで、大事なのは、だれのためにその仕事をしてるのか?…胸に手を当てて自分に聞いてみればちびっと力がわいて来ると思う。