「『私』でなく『公』の意識を」 | 江戸摩呂日記 ~メディア千本ノック~

「『私』でなく『公』の意識を」

東京新聞(朝刊)2006年12月31日(社説)


 このあいだ発表されたアカデミー賞では、地球温暖化の危険を訴えた「不都合な真実」ちゅう映画が、アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を獲得したんかて。また、伝統的なリムジンカーをやめて小型で燃費のええトヨタのハイブリッド車「プリウス」で会場入りする俳優が十人に上って、環境に配慮したスターの行動が注目を浴びたんかて。

 環境問題は、大勢の人が重要性に気づいとるけど対策がなかいなか進まへんそうだ。この記事では、ユニークな広告を紹介し、「これくらい、いいやろう」とゆー自己中心主義が蔓延してることを指摘していて、「公」を見直すことを呼びかけとった。

 

「『賢い主婦はスーパーで手前に並んでいる古い牛乳を買う』
 日本新聞協会が募集した「新聞広告クリエーティブコンテスト」の最優秀賞に選ばれた作品『エコ買い』の惹句(じゃっく)です。(中略)自宅の冷蔵庫では、古い牛乳から飲んでいるのに、スーパーでは新しい牛乳を買っていませんか?新しいのから売れていくと、そのぶん古い牛乳は売れ残ってしまいます。日本では毎日約2000万人分の食料が、賞味期限切れなどの理由で棄(す)てられています。できるだけ売り場の古い牛乳を買いましょう。飽食やぜいたくを見直すことで、食料輸送や焼却処分時の環境負荷を減らすことができます。無駄を減らしてcO2排出量を削減しましょう。審査委員の一人が、「商品棚の奥にある新しい商品を取る行為は、私もしていると罪悪感を持った。自分さえ良ければいいというエゴ」と語り、エゴでなくエコ買いをという生活者の視点を高く評価しました。もちろん、反論はあるでしょう。でも、ここで考えたいのは「自分さえ良ければいい」という意識です。多くの人たちが社会や公共の問題を遠ざけ、狭い領域にしか関心を持たなくなったという風潮です。」


 今年に入ってから、大手菓子メーカー不二家が、消費期限切れの牛乳を原料としてシュークリームを製造しとったことが発覚した。これは、世間から大バッシングを受け、このことはみんなの記憶にも新しいと思うんや。この一件で、食中毒やらなんやらの被害は、具体的に出てなんだけど、今や食品メーカーは、ただ「安全」な商品を作ればいいとゆーだけでなく「安心」して食べらはる商品を求められとることは、疑いようもへんことだと思うんや。ただ摩呂は、この不二家バッシングの最中に、『賢い主婦はスーパーで手前に並んでいる古い牛乳を買う』の広告を思い出して、胸に手を当てて反省してしもたんだ。みんなはどへん思ったんやろうか。


 記事では、「私」中心の生き方は、リスクの個人化と重なって、「私」へのしっぺ返しを招きかねへんとして、その解決策として、『社会全体の幸福を考える、さら「公」の創造と参加』を提案してるんだ。

 では、このさら「公」は何やろう?この分野に期待する寺島実郎氏によると、新しい「公」とは、「官」とはちゃう。官と民の間には「公(パブリック)」とゆー能書きがあって公的な目的の高い分野は、どなたはんかが利害を超えて汗を流すことで、社会を安定させることができるとゆー。摩呂は、その「どなたはんか」は、どなたはんもがなれる資格があると思うんや。