弁護士のモラル低下、裁判での敗訴を招いているんとちゃうか? | 江戸摩呂日記 ~メディア千本ノック~

弁護士のモラル低下、裁判での敗訴を招いているんとちゃうか?

日経新聞 2006(平成18)年724日(月曜日)インタビュー領空侵犯から

三宅伸吾「弁護過誤訴訟のすすめ」

 政治家、医師などと並んでセンセイと呼ばれる弁護士さん。合格率3%に満たない超難関の司法試験を突破した「法の番人」は、人権問題題から華々しい企業の合併・買収(M&A)戦略を練る頭脳プレーヤーとして各界で活躍している。そんな彼らの仕事ぶりの評価について”待った”を掛けた人がいる。生命倫理など医療分野の政策提言を行うシンクタンク科学技術文明研究所所長の米本昌平はんや。医療界に医療ミスがあるように、裁判でも落ちこぼれ弁護士やインチキ弁護士による弁護ミスがあるとゆー。この弁護過誤によって損害が生じた場合、弁護士を訴える訴訟をタブー視していては法のモラルが保たれない、と警鐘を鳴らしている。

 米本さんは、問題意識の出発点に弁護士に不可欠な職業倫理をあげている。

「弁護士は社会正義の実現という使命を担っています。だからこそ、救命・延命を目標とする医師や、魂のアドバイザーである聖職者などとともに特別の権限が与えられ、高い職業倫理が求められてきました。」

 弁護士のモラルの低下について米本さんの嘆きは続く。

「医療の世界では、医師のミスで患者が死亡したりする医療過誤事件が社会問題になっています。(中略)最近では、これを防ごうと医師同士の相互監視も働きつつあります」

と指摘するが、弁護士界の現状は目を覆うばかりだとゆー。

「弁護士が弁護活動で何らかのミスをして裁判で負けても、弁護士はその責任を裁判官のせいにして『(一審の裁判官には問題があったから)二審で頑張りましょう』です。どうも弁護士同士ではお互いのサービス内容の批判をしないようです。医療過誤裁判があるのだから、弁護過誤裁判がもっとあってもいいのではないでしょうか。米国では医療過誤と弁護過誤を使い分けていますが、日本で過誤と言えば医療過誤です。」

 見落としてはいけないのが、米本さんがモラルの低下の原因を行き過ぎた商業主義としたところだ。医療界は医療ミスの社会問題化というガイアツで、病院側に医師の手術件数などの情報公開を進め、患者側にも信頼できる医師と医療方針を求めてセカンドオピニオンをとる自衛策にも理解が得られつつあるように思う。それに比べて弁護士界では、問題があることすら表面化していない。例えば、万引の冤罪(えんざい)事件の弁護をある法律事務所に頼んだが、負けてしまった。その弁護士が過去に手掛けた裁判をよく調べたら、専門は離婚問題だと分かった・・・という具合や。総合病院で眼科の診察を受けたかった患者が、眼科医と偽った皮膚科医から診察を受けたため症状が悪化してしまったという、とんでもない話といえる。

 モラルの欠けた商業主義でもう一点。ライブドアや村上ファンド事件では経営者の犯罪が問われているが、いずれの会社にも監査役として弁護士がいたことも指摘したい。すべての経営陣の犯罪を見破ることは不可能だが、きな臭さを感じたら法的な問題点がないかどうか徹底的に調べ上げ、時に修正させるのが弁護士の存在意義やろう。法律事務所は法律の駆け込み寺だからこそ、弁護士は法律の番人に恥じない仕事をしてもらうのが筋や。