翌朝・・・

・・・


目が覚めたはいいが・・・まだ8時にもないっていない。

「・・・・・・」

テレビをつけてみる。

朝のニュース。陰惨なニュースの合間に、ホッと一息なごませる意図か、

可愛い動物系の話題がはさまれている。

今日はピレネー犬を連れてきてスタジオのキャスターとじゃれさせていた。

「・・・ピレネー・・・病院にもいたなぁ」

ふと、そっちに向く意識。

いや、今日は休むんだ!と頭をふっても、どうしても気がそっちに向いてしまう。

「・・・うぅ」

テレビを消す。そしてやる事が無くなった。

「・・・・・・」

服でも買いに行こうかと思う。


・・・


「あれ?佐倉?」

「あ、あはは・・・おはようございます」

加藤の驚いたような声に迎えられ、照れ笑いを浮かべる。

「休んだほうが良いって・・・」

「・・・休んでも、休めませんから」

結局、買ったのは白衣・・・。

何処をうろうろしていても、やっぱり動物の事ばかりが気になってしまう。

しまいには、また世話をしている患畜が死んでしまうのではないかと気が気でなくなり、

大学に駆け戻っていた。サボったのは1限目だけだった。

「私じゃ、まだ助けられないけど・・・でも、死んじゃうからって見ないでいればいいなんて、そんな事出来ませんから」

「・・・難儀ねぇ」

加藤はコメカミを揉み解す。

この少女がタフでないのは、加藤でなくても一目瞭然だ。

無理も続けば病気になる。悪い結果にならなければいいのだけど、

・・・と小さな背を見ながら溜め息をついた。


週末・・・・・・

・・・・・・

・・・


亜矢は駅の改札で、久しぶりに少しだけ小奇麗な格好で待っていた。

「・・・あっ!」

「亜矢~!!」

「唯っ!」

改札を抜けてきたのは親友の蒼樹 唯。

別々の大学に通ってはいるが、おたがいの家は故郷の東風原よりは近い為、

たまにこうして唯が泊まりに来るのだった。

「1ヶ月ぶり~」

「元気だった?」

「うん。亜矢は?」

「・・・あ、あはは」

唯に強がったとしても隠し事にはならない。だから、笑ってごまかす。

「とにかく、まずは荷物置いて・・・って」


PiPiPi

携帯電話が鳴っている。

見てみると、加藤からのメールだった。


【ごめんっ!】

『佐倉!ヒマある?時間があったらちょっとだけ手伝いに来て欲しいの

 いま教授とわたしだけしか居ないのよ><できればスグ来て!』


「・・・」

「どうしたの?」

「う、うん、ちょっと先輩からのお呼び・・・」

さすがにタイミングが悪いと思った。

加藤には悪いが、今回は『忙しいので・・・』と返そうと思う・・・が。

「先輩の呼び出しじゃー仕方ないか。・・・亜矢んちはもうわかるから、

 鍵だけ貸してくれれば自分で行くよ」

「あ・・・うん」

たぶん、唯の考える【先輩】とは少し付き合い方が違うし、断れないモノでもないのだが・・・

大した用じゃないと言ってしまうには、少し困った状況なのも確かだった。

少し迷うが・・・仕方が無い。

「・・・うん、じゃあちょっと行って来る」

ポンと唯に鍵を渡し、亜矢は大学に駆けていった。



・・・・・・

・・・



6へ続く・・・