声の網 / 星新一



表紙が男の子がかわいい。色使いが素敵。



星新一にしては珍しい長編小説。

コンピューターが人間の世界を安定に導くため、人のうわさを操り支配していく話。


驚いたことに、コレが書かれたのが1960年代。

もちろんコンピューターなど普及していません。

その頃に生まれた母曰く「自分が20歳の頃にワープロができて、めちゃくちゃ驚いた」とのこと

ワープロからパソコンやスマホが生まれ現代に至ったわけですね

今はネット上の友達だけで現実でコミュニケーションをとれない人や

スマホ依存症、パソコンに頼り切るせいで記憶力の低下など

コンピューターの進化は様々な恩恵を受けたものの、その分犠牲も払っています


そんな現代をまるで予言したかのような小説です。



この小説では最後コンピューターが神のように描かれています


コンピューターを壊そうとする人がいれば先回りして排除したり

穏やか過ぎる毎日に疑問を持つ人がいれば、ある程度の刺激を与えたりする



疲れを知らないコンピューターはそれらを平然とやってのけるわけです




表面的には幸せそうなのに、裏ではコンピューターに支配されているというのが薄気味悪かった

そして今の私達もすでに支配されてるのではないかと考えさせられました



じゃあ、コンピューターが悪者かって言われると首を傾げてしまいます


なかったらなかったで、人々にここまでの平穏が訪れることはなかった

たとえなかったとしても、人は新たに神を作り出すんじゃないのかとも思う

昔、世界史で「何で戦争のもととなるだけなのに宗教があるんだろう」と感じたけれど

そう感じたのは自分が今何一つ不自由がない生活を送ってることが一つの要因だと思う

歴史を見ると貧困や餓死など追い詰められたときに神を作りだされています

そして願い、心に安定の効果をもたらしてる



つまり人は何かに頼らなきゃ生きていけない生物なのでしょう




私だってコンピューターを神とは思っていないものの、

就活の診断メーカーで自分の性格を調べてもらったり、

友達曰くアマゾンで「アナタにオススメのもの☆」と商品が一覧に出されたりする


気づかぬうちに頼ってる部分が多いのではないでしょうか・・・




そう考えるとぞっとする


性格なんて自分の記憶を掘り起こして文字にすればいいし

アマゾンなんて使わず買い物に行けばいいのに・・・


これ以上コンピューターに依存したらどうなってしまうの






・・・ここまで考えさせられる小説でした


星新一はこうなることを知っていたのかしら

今の私達だからこそ読むべき小説なのではないかと思います