ギリシャ神話では、愚かな神が「開けてはならないもの」を開けてしまったために
ありとあらゆる災いがそこから飛び出し、最後に「希望(のぞみ)」だけが残された、という。
所謂、有名な「パンドラの箱」の寓話だ。
この話をふと思い出して、前回話題にした光速で移動する宇宙刑事 の存在とは、
「パンドラの箱」と同じ寓意を秘めているのではないか、という強い想いに駆られた。
本来、一般相対性理論の考え方からすれば、物体が光速で移動することは出来ない。
だから、光速移動の宇宙刑事は量子テレポーテーションを使っているのではないか、
という自説を展開するに至った。
しかし、ここには根本的な誤りがあった。
その宇宙刑事は光速ではなく、「ひかりの速さ」で明日へ向かうのだ。
それならば、答えは簡単だ。宇宙刑事は、毎時 270km で移動するのである。
大まかに言って、東京~大阪間を 3時間弱で結ぶ速度だ。
そして、日本国民が明日へと抱く希望(のぞみ)は、光速(ひかり)すら凌駕する。
その速度は、実に毎時 300km にも達し、まさに「パンドラの箱」が開かれたにも等しい。
しかし、奇妙なことではあるが、この理論では光速を越える動物が存在することになる。
それは猛禽類の一種、「隼(はやぶさ)」である。
すなわち、「 はやぶさ 」こそ超光速移動を可能とする時空ワープ装置なのであり、
現代日本における技術の粋が詰まった高速鉄道の傑作なのである。