Film:Solaris Euro Print 200
パサージュを抜けて暴君の元へ急ぐ。
『ティクタク、ティクタク…』と懐中時計が文句を言う。
シャトーの門番に、持ってきた青りんごを手渡すと、門番はぺろりとそれをたいらげて満足そうにげっぷをした。
その後すぐに私はぎょっとする。
何しろその門番は『早く行け』と私を槍で突いたのだ…。
(明日からはもうりんごを持ってきてやるのはよそう…。)
可笑しな調子で足踏みをするメイドや、窓の曇り取りに余念の無い執事の脇を抜けて謁見の間へと急ぐ。
私が暴君の下にたどり着くと彼女はむっすりとした顔で窓の外を眺めていた。
『パサージュでまた道草をしてきたの?』
暴君おきまりの嫌味を無視するように私は昨夜撮影したオペラ座での写真を差し出す。
暴君は目をきらきらと雨粒のように輝かせそれらを手にとり、先ほどまでの仏頂面が嘘であったかのようにふくふくとした笑みを浮かべた。
暴君は一通り私の写真を見終わると『明日はムーラン・ルージュの写真を期待しているわ!』と言ってとびきりの笑顔を私に見せてくれた。
