◆日本のプロ野球で最も多くヒットを打った張本勲さんには、6つ上のお姉さんがいました。色白で背が高く、やさしかった自慢の姉。その点子さんを原爆で奪われます。

◆いまも記憶に残る大切な人の思いで。手元には遺品は1つもありません。悲しんだ母親がすべて処分してしまったからです。ところが、69年の年月を経て奇跡が起きます。その姉と同級生だった人とつながったのです。数年前に新日本出版が発行した『張本勲、もうひとつの人生』。それを読んだ人が担当者に電話をかけます。=「知り合いに南崎綾子さんという人がいる。彼女は当時のクラス全員が写った写真も持っている」。

◆連絡を受けた張本さんは電話口で嗚咽しました。南崎さんも原爆によって体の3分の2に火傷を負いました。82歳のいまも語り部として活動しています。会える日を楽しみにしている張本さんと南崎さん。過ちは二度と繰り返してはならない、同じ思いを胸に【2014年8月6日付「赤旗」潮流】