◆民主的なあり方の好例としてあげられるのが、ロンドン5輪で銀メダルを獲得したサッカー日本女子代表の監督と選手の関係です。同代表・佐々木則夫監督のチームづくりを象徴するのは「選手主導」「横から目線」の言葉です。同監督は08年北京5輪の経験から、「選手が自分で考えて成長することが大切」「選手主導」によりかじをきりました。

◆「北京では歓声で僕の指示が聞こえなくなると、選手で判断して状況を変えれなかった。もっと選手で判断できる力が必要」と、その理由を本紙(「赤旗」)の取材で語っていました。その後、課題を投げかけ、選手同士で話をする。みんながビデオで研究するなどが、当たり前の光景になっていきました。監督と選手もよく話し合います。それも上からでなく「横から目線」で。

◆ロンドン5輪でキャプテンを務めた宮間あや選手がこう語っていたのが印象的でした。「監督は、『みんな、どう考えているの』とよく聞いてきます。だから抑え付けられているとか、上からという感じじゃなく、ともにチームをつくっている感覚です」

◆佐々木監督は1月中旬、体罰が問題になっている現状に心を痛めつつ、こう語りました。「指導者が未熟だと、そういう方向へ走ってしまう。さまざまな分野を熟知して、指導の質を高めることが大事。選手たちの未来に触れていることを根本に考えれば、間違った事件が起こることはないと思う」。監督と選手の民主的な関係をどうつくるかーー。体罰のないスポーツのカギがここにあります。
【2013年2月11日付しんぶん赤旗に掲載】