<前回に続く>

◆私も指導者として苦い経験をしています。現役を退いたばかりで全日本女子柔道チーム強化コーチになったときです。選手にアドバイスをしても、選手がその通りやってくれる様子がない。受け流されている感じで、ショックを受けました。悩みもしました。でも、「自分は、どんな先生の話なら聞いていただろうか?」と考えました。結論は、「話を聞き、自分を受け入れてくれる先生」でした。

◆そこで選手の話を聞くことから始め、この人なら何でも話せるという関係をつくろうと。いわば、言葉のキャッチボールです。相手の球を受け止めれば、こっちのボールも受けてくれる。とくに選手の悩みや不安の“ボール”を受け止められれば、本当の信頼が生まれ、こちらの思いも伝わることがわかりました。そんな関係を築く上で、体罰や暴力は必要ないし、逆に妨げにしかなりません。

【2013年2月7日付しんぶん赤旗に掲載】