3・11以降、大河ドラマへの意識が「面白いものを作ろう」から、「今やるべきものは何か」に変わっていきました。そこで浮かんだのが、激動の中ですべてを失った中から立ち直った会津の人たちの生き方でした。「八重の桜」の主人公・新島八重は幕末に配線を喫した会津の出身です。賊軍の烙印(らくいん)を押され、絶望のふちに立たされますが、自らの信念を貫く八重たちは、歴史の舞台でよみがえります。

 その信念が「ならぬことはならぬ」「たとえ負けるとわかっていても、やらなければならないことがある」という会津の精神です。そして、誠実に生きているものを歴史は決して裏切らないー。

 桜は一卵性の樹木です。同じ株から分かれた木々は、バラバラになっても一緒に咲いていくといいます。激動の中に散るだけでなく、たくましく、しなやかに、また花を咲かせる。「八重の桜」というタイトルには、「永遠の絆(きずな)」との思いも込められています。
【2013年元旦号「しんぶん赤旗」日曜版に掲載】