バルト3国のひとつ、エストニアの首都タリン(人口40万人)では1月1日から、バスや路面電車などすべての公共交通が市民に無料となります。欧州諸国の首都では初めて。世界の首都で初めてという報道もあります。新たに電子カードを導入し、市外からの訪問者には有料で販売。市民は電子カードがなくても、身分証明カードで乗車できます。

 タリン市の公共交通の収入は3分の1が切符の売り上げによるもの。新制度でこの多くを失います。しかし市当局は、貧困者を支援すると同時に、自動車通勤を減らすことで騒音と排出ガスを減少できるとしています。

 タリン市は公共交通の無料化について、3月に住民投票を実施。投票者の4分の3が賛成しました。ただ投票者は有権者の5分の1にとどまりました。反対派は「市長の人気取りだ」、「道には穴が開き、幼稚園に予算がない」などと批判しました。

 バルト3国の他の首都、リトアニアのビリニュスやラトビアのリガも導入を検討中。タリンの対岸にあるフィンランドの首都ヘルシンキも興味を示しているといいます。欧州の小さな都市、ベルギーの八ッセルトやフランスのシャトルーなどで、すでに無料となっています。
【2012年12月29日付しんぶん赤旗に掲載】