桜美林大教授で元朝日新聞コラムニストの早野透氏が、同氏の有料ネット版に掲載しているコラム「新ポリティカにっぽん」の今月最新号で、尖閣問題での日本共産党志位和夫委員長の行動について「異彩を放った」として紹介しています。

 早野氏は「『尖閣』への対応、誤るな」と題したコラムで、「民主党も自民党も『領土問題はない』の一点張りで果たしていいのだろうか。結局はなすすべなく手をこまぬいているだけだ」と批判。「それに引き換え、この間、異彩を放ったのは
共産党志位和夫委員長の動きである」として、志位氏の日本政府や中国駐日大使への申し入れについて言及しました。そなかで、早野氏は志位委員長提言について、日本政府の棒をのんだような対応では国際世論に訴えることもできず、「自縄自縛」に陥っているとして、「むしろ『領土に関わる紛争問題が存在する』ことを正面から認めたほうがいいというのである」と解説。「『紛争問題』であることを認めて外交交渉に臨むべきだという議論は説得力がある」と強調しています。

 また、
志位氏が在日中国大使館に程永華駐日大使を訪ねて会談し、対日批判を暴力で表すのはよくないと申し入れるとともに、日本による尖閣諸島の「先占」(1895年)以来、中国が75年間、一度も異議も抗議も示さなかったことも明らかにし、大使に日本の領有は正当だと主張したと紹介。「民主党と自民党が遠吼(ぼ)えしている間、共産党は外交交渉に乗り出した形である」と論評しています。

 その上で、国連総会での日中両国政府の応酬をあげ、「何のことはない、
志位氏が駐日中国大使に言ったことと同じことを(日本の国連大使は)主張した。こんなことなら、共産党に外交を任せたほうがいいと皮肉られても仕方ない」としています。
【2012年10月10日付しんぶん赤旗に掲載】