ノーベル医学・生理学賞の京大教授・山中伸弥さんには、2人の娘さんがいます。山中さんは、顕微鏡でみる受精卵と「自分の娘の顔が重なり合った」そうです

▼動物の体は、ほんの1つの受精卵からつくられるさまざまな細胞でできます。骨、筋肉、血液・・・。科学者たちが、受精卵から万能の細胞を生み出し、傷ついたり失われたりした人の体の再生に生かそうとしたのも、うなずけます。

▼しかし、赤ちゃんになるかもしれない受精卵を壊さないと、骨や筋肉の細胞に成長させられません。人の命を救うつもりが、人の生命のめばえを摘み取らないか。倫理、人の道にかかわります。

▼山中さんは、娘さんの顔のようにみえた受精卵の利用を拒みました。仲間の協力であみ出した別のやり方が、IPS(人口多能性幹)細胞です。皮膚の細胞を、どんな細胞にも成長する能力をもつ受精卵のような細胞へと「初期化」し、つくりだしました<後略>

【2012年10月10日付しんぶん赤旗に掲載】

松下ゆたかのコメント 山中さんは単なる科学者ではありませんでした。娘さんへの愛情と科学を両立させて偉大な到達点を確立させたのです。山中さんの話しには「感謝」という言葉が何回も出てきます。

 そして、病気に苦しむ患者さんの期待に早く応えたい、「これからが勝負」と断言しました。すばらしい人ですね。真のノーベル賞受賞者の山中さんと「チーム山中」にあっぱれ!