英BBC放送は1日、カール・マルクスの資本主義分析に焦点をあてた1時間番組を放映しました。ケインズ、ハイエクに続き3人目がマルクスです。シリーズでは「(3人が)いかに20世紀を形づくるのに一役買い、今日の世界に大きな影響力を行使し続けたか」を、BBCの経済担当編集者ステファニー・フランダースさんが検証します。

 フランダースさんは番組で、マルクスの資本主義の“崩壊”の考えは「間違っているように思える」と述べていますが、それでも「最近の不況は普通でない。資本主義の危機のようだ。マルクスほど大きな説明をした人はいない」と語っています。

 さらに「今日、世界のビジネスの中心で、資本主義についての彼の考えが真剣に受けとめられている」と報告し、インタビューしたスイスの大手銀行UBSのジョージ・マグナム氏の次のようなコメントを紹介します。「彼(マルクス)の分析はとても当たっており、今日、経済で起きていることの多くを説明している」

 フランダースさんはマルクスの考えをこう紹介します。 

◆--「世界は資本家と労働者に分かれ、その対立が危機の要因」 

◆--「資本家はもうけのため労働者への支払いを絞る」 

◆--「資本家が労働者に売ろうとするものを、労働者が買うのに十分なマネーを持たないときに、危機ととなる」   

 フランダースさんはマルクスの革命についての考えにも言及。

 「マルクスは世界を解釈するだけでは不十分で、重要なのは変えることだと述べた」が「革命を急がなかったようにみえる」と述べて、「資本主義から得られるすべてのものを得たときに革命をなしえる」とマルクスは考えていたと紹介します。

 しかし、彼女は、マルクスが解明した、訓練され組織された労働者階級の反抗の増大など資本主義に代わる社会への諸条件の具体的内容には踏み込んでいません。

 フランダースさんはソ連・東欧について「マルクスが予見した豊かで発達した国での革命はなされずに、貧しい国ロシアで起きた」と振り返ります。そして、「より公正な対案を求める人たちは、ベルリンの壁の東側で起きた独裁、政治的抑圧、人びとの生活破たんを繰り返してはならないことを承知している」と語っています。

【2012年10月9日付しんぶん赤旗に掲載】