原発再稼働の判断をめぐって政府と規制委員会が責任を押し付けあっています。原発ゼロを求める世論を無視して、再稼働を自動的にすすめていく狙いが浮かび上がっています。「規制委員会は科学的、技術的見地から安全基準を満たしているかを確認する。稼働の判断とか地元への説得は事業者や省庁に担当していただくべきだ」--原子力規制委員会の田中俊一委員長は3日の委員会でこう述べ、規制委員会が再稼働の判断はしないとの考えを表明しました。

 一方、野田首相は「原子力規制委員会が安全基準をまとめ、それに基づき判断する政治が介入して何か言うことは独立性を損なう」と述べ、政府は再稼働判断に関与しない考えを強調。

 藤村官房長官も3日の記者会見で「再稼働は法律的には認可も必要ない」「(再稼働を)止める仕組みはない」として、「(再稼働を判断する)閣僚会合などを開催することは考えていない」、地元自治体の理解を得ることも「電力会社が行う」と述べました。規制委員会の安全判断さえあれば、地元工作を電力会社に任せ、再稼働を自動的にすすめようと言うのです。それぞれの責任を押し付けながら世論の批判を逃れ、再稼働を次々と自動的に進めていくまやかしです。

 2030年代に「原発ゼロ」を目指すとしながら、その経過では「重要電源」(藤村長官)として原発再稼働を認めていく政府の「エネルギー・環境戦略」の危険を改めて示しています。

【2012年10月9日付しんぶん赤旗に掲載】

松下ゆたかのコメント 首相、規制委員会、官房長官がそれぞれ責任転嫁の発言をし、一方で新しい「安全基準」でお墨付きを与え、50基の原発すべてを自動的に再稼働させていく策動です。

 権力側は、首相官邸前の抗議行動など世論の高揚に恐れながらも、したたかな策謀をめぐらし「承認なし」で再稼働を進めていく方針です。規制委員会の田中委員長の国会承認もやらず、オスプレイの強行訓練も「承認なし」です。

 国会を開かず、独断専行で悪政を進めていく、まさに、“無政府”状態です。亡国内閣打倒、国会解散・総選挙をたたかい取りましょう。